あまりにも長いこと行きたいと思っていたので妄想がどんどん膨れあがって、行きたいのに行くことができなかった場所、Sewing Table Coffee。
中学時代からの友人で、コーヒー博士のマキちゃんから「夾竹桃の花が揺れる頃に」という本を頂いたのはいつだったか。Sewing Table Coffeeを作られたのは、この著者である玉井恵美子さん。玉井さんがこのお店に込めた想いがぎゅっと詰まった宝石みたいな本です。これを読んだのが、私の妄想のはじまりでした。
Sewing Galleryでは畑尾和美さんの個展「雨の唄」が開催されていて、七夕なので夕方からは夜店、キャンドル点灯、詩の朗読があるというので、「行くなら今日でしょう!」と、ようやく出動したわけです。
星ヶ丘という夢のある名前の駅で降りて徒歩3分ほど。まずはギャラリーで畑尾さんの作品を鑑賞。なんだかお線香のようないい香りがするので係の人に、「なんかいい匂いがしますね。お線香みたいな。」と言うと、「あ、蚊取り線香です!」 私、蚊取り線香の匂いをすっかり忘れてました。(笑)
作品が雨粒のように天井からいくつもつり下げられていて、窓から入る風に揺れています。流れているピアノの音も雨音のよう。お客は私一人だったので、静かな空間を堪能できました。感想をノートに書いて、糊を貸してもらいアベスリ〜カードを貼り付けました。30分ほどしたら畑尾さん本人が来られるというので、コーヒーを飲んでまた戻ってくることに。
いよいよ待ちに待った場所へ。まるで、長年文通してきた相手にはじめて会うような気分。
そこは思い描いていた以上にすてきな場所で、しばらくはソワソワ、キョロキョロ。サイホンコーヒーはこのうえもなく美味しかったです。ブラックなのにミルクが入っているかのような乳白色の香りが最後までつづくのです。こんなコーヒーは初めてです。
ふと横を見ると、いい雰囲気の本棚にたくさんの人に読まれたのであろう本が。星野道夫、イサムノグチなどなど読みたい本が目白押し。その中に、「この本は良さそうだから買おうかな」と昨晩メモしたばかりの本があるではないか!「日日是好日」森下典子著。結局その本を2章まで読み、続きはまた来たときのためにとっておくことに。あまりの居心地の良さに1時間半が過ぎていました。
外に出ると夜店やキャンドルの準備が始まり、むこうの木の下では詩の朗読の練習をしているようです。お客さんが続々と集まってきます。暗くなるまで居ようかとも思ったけれど、あまり人が多いのは苦手なのと、今日の満足感は既にオーバーフローを起こしていたので何枚か写真を撮って立ち去りました。また今度、普通の日に行こうと思います。
東京で頑張ってる友、マキちゃんに感謝です。